[005]
改進党 小川半次
（略）
私は、このたび京都において行われた弾圧法粉砕総決起大会並びにデモ行進中の情景を見て、日共を背景とする集団暴行が今後さらに悪質化して来るのではないかという印象を強くしたのであります。
実は京都では、今から1箇月前の2月23日にもデモ隊の集団暴行事件が発生し、3箇所の交番所と2箇所の税務署が襲撃され、その際目つぶし用のパチンコ玉、灰のつぶてを用いて、多数の警察官が傷害を受けたのであります。
この恐怖と戦慄のいまださめない1箇月後の今日、再びさらに悪質な集団暴行がデモ隊によって行われたのであって、しかも今回の場合は、単に警察官のみに対する暴行ではなく、一般民家に対しても、この家は反動の家だと称して破壊し、さらに報道の任にあったところの京都新聞社の山形、井上両記者、大阪新聞の藤本記者らが集団暴行を加えられ、山形記者のごときは目下生命が案ぜられているという状態であってわれわれは今回の事犯を単なるデモ騒ぎの余波として片づけるわけには行かないのであります。（拍手）
この事件は、労働組合総評議会に日共が合流したものであって、暴力行為は主として日共党員によってなされたということが、大体明らかになっておるのであります。（拍手）
われわれが今回の事件を特に重視するのは、報道関係者に対する暴行であります。民主主義の基礎に言論、報道の自由が存在することは、あらためて言うまでもないところであって、報道の自由を奪うことは、国民の自由を奪うことであり、しかも多数が暴力をもって取材中の新聞記者に暴行傷害を加えたことは、自由と民主主義を破壊するものであって、もはや正気のさたとは言えないのであります。（拍手）
（略）
昭和27年04月21日 衆議院 行政監察特別委員会
[012]
自由党（自由民主党） 田渕光一
去る3月の27日、本会議におきまして、改進党の小川半次君より緊急質問があったのであります。すなわち2月23日、3月20日に関連いたしまして京都が無警察状態であるというような緊急質問が出たのであります。
翌28日の当委員会におきまして、この問題を調査の対象に取上げまして、治安行政の監察に京都事件の調査団が決定いたしたのであります。ちょうど本国会が4月4日から9日まで自然休会に入りましたので、この機会を利用いたしまして、調査団は4月5日東京を出発、6、7、8の3日間にわたしまして、このいわゆる京都事件を調査いたして参ったのであります。
派遣委員は、自由党所属野村（※專太郎）議員、押谷（※富三）議員と本員（※田渕光一）、改進党の高倉（※清治郎）議員、社会党の井上（※良二）議員の一行5名をもって調査をいたして参りました。以上大要その御報告をいたします。
第1、京都事件の事件の概要から申し上げます。
一、2月23日再軍備反対青年婦人大会の概要であります。以下2月23日を2・23事件と申し上げます。
2・23事件は、京都市華頂会館において開催を計画された再軍備反対青年婦人大会が、公安委員会より不許可となりましたにもかかわらず、当日は許可申請者とは別個の、学生、自由労働者、朝鮮人を主力とする約300名によって無届デモが敢行され、11名の検挙者を出すに至った事件であります。
事前の状況は、去る1月5日より2月5日までに行われました京都市公安条例廃止運動は、総評系及び全官公系の左右二本建ての運動であったのでありますが、各労組の青年婦人部におきましては、青年戦線の統一を痛感し、まず当面の問題である再軍備、徴兵、労働法規改悪反対をスローガンといたしまして、再軍備反対青年婦人大会を2月の23日華頂会館で開催することを決定、2月21日に京都市公安委員会に対し、新産別京都地連、全官公京都地協――地区協議会であります。黒川工業の労組、ＳＫＲ（総評金属）の各青年婦人部代表者が連名で許可申請の手続をいたして参りました。
しかるに全官公系の工作により、総評の意図する青年大会は次第に左派分子によりまして蚕食され、府学連、京都青年連盟、民青等広汎な青年戦線の強硬参加が、過激なビラ等によって現われ始め、次第に反植民地闘争デー的色彩が強くなって参ったのでありまして、全官公系以外の労組は大会不参加を申し合せました。
一方京都市公安委員会におきましては、府学連、京青連、民青は昭和26年11月7日、政治的意図をもって水谷長三郎代議士の邸宅を襲った尖鋭的団体でありまして、日共臨時中央指導部が指令したと伝えられる「国際反植民地闘争デーに際し諸君に訴える」という文書の内容と、今次集会目的と合致しており、全文を通じて政令325号に抵触する容疑が濃厚であったのであります。
情報によりますと、今次集会を期して、京都市内において暴力行使を計画し、あるいは闘争を目的として、必要用具をひそかに準備しておると認められるものがあったのであります。これらの情報によりまして、上記大会を公安委員会は不許可処分にいたし、市内においては「23日は実力デモを敢行する」「警察と一もみする」「目つぶしを準備せよ」というような不穏な情報がひんぴんと入って来たので、全市警察吏員を動員いたしまして、京都市警はこれが警戒にあたっておったのであります。
なお本事件に対する学生、朝鮮人の事前の動向を述べますと、学生の動きは洛陽高校生による大会宣伝、すなわち2月20日午後5時30分、上京区寺町広小路附近一帯を洛陽高校生3名が自転車にプラカード、赤旗――民青京都府委員会と書いてありますのをとりつけ、反植民地闘争デー華頂会館参加の宣伝を行い、動員ビラを撒布いたしましたが、中立売署に同行され、この際立命館大学、鴨沂（おうき）高校生等約200名が、同行した警邏隊員の職務質問に抗議して、中立売署に押しかけております。
また一方立命館大学では反植民地闘争全学総決起大会というのをやっております。2月21日立命館大学校法律経済第23号室で、細野教授を迎え約150名が参集、
1、再軍備徴兵絶対反対、
2、2500億の軍事予算絶対反対、
3、授業料の値上げ反対、
4、全京都再軍備反対青年婦人大会に結集せよ
等のスローガンを掲げ、全学総決起大会を行ったのであります。中立売署警備係員に対する不法事件はこれによって起きました。
2月23日午前10時ごろ、立命館大学第23号室における学内講演会にあたり、学生部長に用件があるため、所轄中立売署警備課員が同校におもむいた際、立命館大学細胞約40名が警備課員を罵倒、脅迫した事件であります。
一方朝鮮人の動きは、2月21日午後1時、朝鮮学生同盟京都本部において、各学校代表者が参集、23日の大会準備会を持ち、
1、全朝鮮学生は当23日午後3時学同本部に集合一団となって華頂会館に向う。
2、全京都青年は梶棒を持って大会に参加し、実力で闘いとる。
3、動員方法は各地域ごとに行う。
4、大会終了後は夜間デモを行い、警官と一もみする用意を持つ。
22日午後7時、旧朝連各支部においては緊急常会を開き、23日大会について協議をいたしたのであります。
このような状態で、当日は午前10時から12時にかけてＳＫＲ青年部谷内口浩二外5名、午後1時から4時にかけて府、市会議員、いずれも日本共産党党員の議員であります。この4名外5名が市警公安委員事務室を訪れまして、公安委員長に対し不許可に対する抗議を行ったが、結論を得ず帰ったのであります。
ところが午後2時ごろより約200名の前記学内集会を持った立命館大学では午後4時30分ごろ学内集会を終了し、そのうち約30名が表門に出て気勢を上げ、これに鴨沂（おうき）高校生約20名がプラカードを持って合流、さらに午後5時40分ごろには立命館大学、同志社大学、鴨沂（おうき）高校生等が参加いたしまして150名となり、御所清和院御門前において無届けデモを開始したので、所轄の中立売警察署から1箇小隊が出動して、解散の警告を発しましたが、これを無視して集団は河原町通に行進し始め、午後6時ごろには人員も約250名に増加、プラカード20本、赤旗等を持って気勢を上げつつさらに南進したので、河原町蛸薬師前で警備部隊2箇中隊で実力解散せしめ、その際公務執行妨害の現行犯として2名を検挙したのであります。
他方午後5時ごろ会場華頂会館前にも学生――京都大学、鴨沂（おうき）高校、京都女子高校、自由労働者及び朝鮮人等を主体とする約70名が集合し始めましたので、警備1箇中隊が実力解散せしめました。
しかし午後7時20分ごろ華頂会館前で解散した群集は、約250メートル離れました祇園会館前に逐次集結いたしまして、約260名ぐらいとなりデモを始めたので、警備部隊2箇中隊により実力解散せしめ、うち1名を公務執行妨害の現行犯として検挙いたしております。
さらに午後7時40分ごろには、各地で解散させた群衆が四条大橋付近に集まり、約300名となって再び気勢を上げ、不穏の形勢にあったので、警備部隊が再度出動して実力解散せしめましたが、この際7名を公務執行妨害現行犯として検挙いたしております。
また午後8時30分ごろ再び各方面より約300名が三条大橋付近に集結いたしました。これも実力解散せしめております。このとき約80名の一団はデモを制止せんとする松原警察署三条大橋巡査派出所勤務の巡査部長以下5名に対し、投石暴行を加えて来たので、これを阻止、防衛いたしましたが、同派出所の窓ガラス4枚を破壊、この5名が負傷いたしたのであります。
かくて午後9時ごろになり、群集は徐々に解散し始め、9時半ごろに至りようやく市内は平穏に復したのであります。
なお本事件中発生いたしました不法事案については次の通りであります。
1、居留民団上京支部の襲撃、当日午後7時15分ごろ、北鮮系朝鮮人10数名が管理者不在中の同支部事務所内に侵入、火鉢1個、椅子4個、謄写機1台、窓ガラス4枚を破壊、同事務所の壁に北鮮旗1枚を貼付、1枚は脱落しております。そして逃走いたしましたので、この犯人は目下捜査中であります。
2、右京税務署投石事件、午後8時20分ごろ、学生風の約10名により投石され、窓ガラス56枚が破壊されたのであります。2階の窓ガラスがほとんど破壊されております。2月27日に至り容疑者、朝鮮人学生、立命館大学の生徒であります。2名を検挙、次いで3月5日立命館大学の学生1名、6日に同じく立命館大学の学生1名を検挙いたしまして、目下他を捜査中であります。
3、二条大橋巡査派出所襲撃事件、これは分散デモの状況を先ほど申し上げました、御参照願えればけっこうでありますが、とにかくその派出所前で巡査部長以下5名に暴行を加え、投石、窓ガラス4枚を破壊した、これなどは石、れんがのかけらを放っておるのであります。
4、中京税務署投石事件、午後9時10分ごろ、帰途中のデモの一隊と見られる何者かによって投石され、窓ガラス14枚を破壊されておるのであります。
5、下御霊巡査派出所襲撃事件、午後10時10分ごろ、学生約10名が派出所の三方から石、れんが等を投石、窓ガラス10枚、電球1個を破壊逃走せんといたしましたが、京都大学生、宇治分校の1名を現場において検挙し、その後捜査を進めた結果、共犯者京都大学生2名、鴨沂（おうき）高校生1名、これは女子であります、これを逮捕いたしております。
本事件における対警暴力器具の使用と発見についてでありますが、本事件において対警暴力器具として使用または発見されましたものは目つぶし用の灰袋、自動車のパンクくぎ、これは自動車をパンクさせるために5寸（※約15cm）に3尺（※約90cm）くらいの板にくぎを数10本打ちまして、自動車の通る前にこれを敷き、自動車をパンクさせるのであります。竹槍が1本、くぎ打ちプラカード、プラカードの先に五寸くぎを刺しておってこれでたたく、かような凶器が発見されております。
3月20日弾圧法粉砕総決起大会の概要でありますが、この事件は2月23日ごろから関連して起っております。
3・20事件は京都市公安委員会におきましては厳重な条件をつけた許可によって開催されたのであります。大会の主催者は総評京都地評でありますが、総評指導者の統率力が失墜いたしたことが認められるのであります。日本共産党並びに北鮮関係朝鮮人等、極左団体のたくみな潜行、撹乱によりまして、支離滅裂化しているのであります。ジグザグデモ行進を開始し、一時京都市の中心街たる四条通り、河原町通りの交通機関を停止するのほか、投石、暴行、火焔筒を使用する等、まったく暴徒化するに至った事件で、2・23事件直後、幾ばくも経ずしてかかる不祥事が発生したことは、あらゆる観点から十分に検討されねばならぬ問題であります。
すなわち事件の概要を略述いたしますと、事前の状況といたしまして、総評では3月1日、東京、大阪を初め、全国各地で弾圧法粉砕総決起大会を打ち、政府攻撃の一弾を投じましたが、京都地評にあっては、機熟せずと見てこれを見送って来たところ、全官公京都地協を初め、左派系労組から2月末共闘参加の申入れを受け、一応態度を保留し来たったのでありますが、3月3日常任幹事会を開いて、3月20日に円山音楽堂における標記大会開催の具体的決定を見るに至ったのであります。
さらに3月7日、11日には加賀田地評議長以下総評系、全官公系各単産の代表等が多数出席、討議を重ねた結果、大会の具体案をさらに補足いたしまして計画を立てる一方、広汎な戦線統一をはかりつつ、漸次春季攻勢への雰囲気を高めて行ったのであります。かくて3月14日総評京都地評におきましては、集会並びに集団示威運動の許可申請書を市公安委員会に提出、これに対し公案委員会では次のごとき厳重な条件を付してこれを許可いたしました。
この許可条件を申し上げますと、
1、官公庁事務に支障を及ぼさないこと。
2、凶器その他の危険物を携帯し、また泥酔したる者を参加せしめないこと。
3、言論及び新聞の自由に関する覚書に違背するような言動をなさざること。
4、許可申請書に記載した参加団体以外の団体員、学生等を、当日の集会並びに集団示威運動に参加せしめないこと。このために明瞭な標識を付せる自治的整理員を会場入口並びに行進列中に配置し、十分な措置を講ずること。
5、集団示威行進の円山出発は午後5時30分とし、解散は午後6時30分までに終了すること。
6、集団示威行進中、紙園石段下より市役所前までの途中においてはジグザグ行進を行わないこと。
7、解散地点は市役所前より御池通りの寺町以西とすること。
8、従来の例によれば解散後集団示威運動に参加したる者のうちの一部が新京極付近に三々五々集合し、公安条例違反の挙に出たることもあり、当日かかることを絶無ならしめるために、あらかじめ自治整理員を次のごとき地点に派遣し、条例違反の発生する事前に制止、解散等を自治的に行うこと。
イ、蛸薬師河原町西入付近、
ロ、松劇前付近、
ハ、松竹座前付近、
二、花月南付近、
ホ、その他新京極付近の適当な地点
9、右おのおのの条件は、集会並びに集団示威運動の参加者に漏れなく集会開会のとき、集団行進出発のとき、解散のとき、その他にわたり徹底の方法を講ずること。
しかしながら一方この間にあって日本共産党は、この大会を期して一大闘争を展開すべく、具体的行動を打合す秘密会合を持ったもののようであります。すなわち情報によれば、日本共産党青年行動隊におきましては、対警工作の一環といたしまして、
Ａ、催涙ガスの使用、
Ｂ、くぎ板戦術、くぎ板による自動車の妨害であります。
Ｃ、粉こしょう、とうがらし、カンフル液等による目つぶし戦術、
Ｄ、警察官に対する各個攻撃、袋だたき、つるし上げ、
Ｅ、警備部隊の誘導戦、
Ｆ、警察部隊の行動指令の入手と指令妨害並びに情報報告のキャッチ
等を討議決定、日本共産党京都府委員会においても、3月20日大会には対警攻撃として、青年行動隊グループで討議した戦術による方針で進めることを確認した模様であります。
さらに学生、朝鮮人関係の動向も活発で、前述の日本共産党の闘争方針に沿うものと思われる宣伝活動が行われ、「20日円山の大会に皆集まろう、日本民主青年団」、「アメ公帰れ、両条約廃棄、日本人民共和国万才」等々を内容とする多数の不穏なビラが散布、貼付されたのであります。
大会の状況を申し上げます。屋外集会の状況から申し上げますと、当日の集会は総評京都地評事務局長黒田誠一君の司会によりまして参議院議員椿繁夫君、衆議院議員赤松勇君、立命館大学教授前芝確三君、同志社大学文学部長竹中勝夫君の4氏の講演を交えまして、何ら事故もなく議事進行が続けられたのでありますが、大会終了まぎわとなりまして、すでに市公安委員会より指定されました集会予定時刻が4時30分から5時30分までになっておりまして、1時間を超過いたしておりますので、会場付近は薄暗くなって参りました。
議長団は予定の議案を省略いたしまして、時間が切迫いたしましたために他の団体よりの来賓メッセージも氏名紹介だけにとどめて、この内容を読んでおりません。そうしてデモ、行進に移ることを宣言いたしましたところ、会場の前方に参加しておりましたいわゆる自由労働者約150名は、委員長の京都府会議員である日本共産党員灘井五郎君に演説させよと議長団に迫り、これに市労連が声援同調するに至って議場騒然となりました。灘井日共府会議員は混乱に乗じて演壇に登り、マイクを奪い取りまして、私の演説を妨害した議長団こそ最も反動者である等の演説をして、混乱と興奮のうちにデモの行進に移ったのであります。
デモ行進の状況を申し上げますと、主催者側の努力にもかかわらず、前述のごとく大会の閉会時刻はまる1時間のずれを生じております。さらに閉会まぎわにおける紛議、これは日本共産党の灘井君が主となって、議事の引延し策をもって薄暗くなるのを待機しておったことは明らかであります。それと主催者側の統制力の欠如から相対的に一部尖鋭分子の乗っ取り方針が強く押し出されまして、不法デモに発展する可能性が、すでにデモ行進出発直前に危惧されておったのであります。
はたして地評議長加賀田進君を先頭に、各種ちょうちんに火をともしまして、インターを高唱しつつ円山公園を出た1キロに及ぶデモ隊は、一部過激分子のリードにより禁止区域内のジグザグ行進を行い、警備部隊の警告、制止を受けながらも、予定コースを西進して参りました。
やがて午後7時10分ごろ、デモ隊先頭が市内中心地、繁華街である四条河原町にさしかかるころになると、一般歩行者中に混在していた不穏分子、学生、自労の一部が、機をうかがってデモ隊に潜入、逐次累増され、総評主催のものには決して見られないほどの気勢をあげたのであります。
午後7時20分から30分に至り、三条大橋から四条河原町通り、四条小橋で完全にデモ隊は総評の指揮下を脱し、実質的には左翼系労組のデモ隊と化し、徹底的な蛇行、いわゆる迂回して、逆進、もどる、まるでみこしをもむような状態、交錯のジグザグを強行したのであります。ために市電、市バス、一般車輌は相並んで停車し、交通秩序は一時完全に破砕される状況でありました。
この間、四条大橋巡査派出所に対する焔管投掛並びに投石事件及び河原町六角付近における京都連合タクシーに対する窓ガラス破壊事件等が発生、そのために所轄五条署より警備部隊が現場に急派されたので、デモ隊はようやく平穏となりましたが、午後7時40分ごろ、先頭は市役所前に到着、後続の来るのを待って、寺町御池西広場に進み、逐次解散をし始めたのであります。
しかしながら、前述の予定デモ隊解散後も、一部不穏分子による分散流れデモが各所に発生いたしております。市警警備課員及び取材中の新聞記者に対する集団暴行傷害等の不法事件が発生いたしております。午後8時30分ごろようやく平穏に復したのであります。
不法事案の発生、本事件中発生した不法事案は次の通りであります。
すなわち、自由党京都府連合会事務所襲撃、午後6時15分ごろ、自由労働者風の5名が石、れんが等をもって投石いたしまして、2階の窓ガラスに大きなあなを4つあけております。また下の金網の入りました厳重なドアーにれんがのようなものをぶっつけて4箇所を破壊しております。目下犯人は捜査中であります。
それから五条署の四条大橋巡査派出所を襲撃いたしております。午後7時15分ころ、デモ隊のジグザグ整理のため、警備部隊1箇小隊が出動している間隙に乗じて、何者かが同派出所に投石、窓ガラス2枚を破壊、同時に鉄道用信号焔管、これは汽車などが事故を起しましたときに使う道具で、鉄道で火焔による信号用に使っておるものであります。この製作所は関東電機株式会社で、長さ6寸、直径1寸、薬品白色粉のものであります。これを1箇を投擲いたしましたが、命中せず、路上において発火、ただちに警備隊員により消火されたのであります。これも犯人を捜査中であります。
それから警官に対する暴行事犯、一つは、午後7時30分ごろ、四条河原町交叉点で交通整理中の五条署小高巡査は、京都連合タクシーに対する暴力事犯、いわゆるガラスをこわしているのを発見、被疑者を逮捕せんとしたところ、巡査をやっつけろと、十重、二十重に包囲され、なぐる、ける等の暴行を受け、全治2週間の負傷をし、しかも公用乗車券を奪取されております。3月22日、被疑者の日本共産党員、府会議員灘井五郎を逮捕、取調べの上送検いたしております。
また午後7時30分ごろ、市役所前広場において状況視察中の警備課勤務田中警部補は、60～70名の包囲を受け、打つ、ける、なぐるの上に、竹ざおのようなもので左頭部に全治1週間の裂傷を負っております。私たちが会いましたときも非常に衰弱しておったのであります。
それから新聞記者に対する暴行事犯として、午後7時40分ごろ、河原町において京都新聞社井上写真部員が撮影中、高さ1メートル30くらいの脚立から、脚立をけられて転落、全治5日間の打撲傷を負い、写真機を破損いたしております。
さらに午後8時過ぎに、寺町通り中央保健所付近で取材中の京都新聞社山形記者は、警官と間違えられ約20名の集団暴徒によって包囲され、ブル新聞記者をやっつけろと、踏む、打つ、けるの、もう手に負えない乱暴をされております。そうして梶棒で殴打されたために、頭部及び右大腿部に全治4週間の重傷を負い転倒、これを救出せんとした大阪新聞、朝日新聞の記者3名中、大阪新聞の藤本記者も軽傷を負っております。これも暗やみに起ったことで、犯人は捜査中であります。
本事件において使用され発見された暴力器具のうちおもなるものを申し上げますと、鉄道信号用焔管、先ほど申し上げたものであります。性能は、5分間ぐらい燃焼いたしまして、赤色の炎を発し、強い光度を持つものであります。薬品は綿薬、ニトロ・セルロースと硝酸ストロンチウム、用途は照明用、警備部隊に対する神経戦をねらったものと思います。それから電球、廃物のマツダ電球100ワット1個、40ワット1個、これは投擲時音響を発することにより警備部隊を注目せしめ、その間隙に反対側からパンク針をしかけることを計画いたしております。左翼分子のデモ隊指導は、自転車連絡、懐中電灯の点滅による信号によって行っております。
第2、治安警備対策と警備状況を申し上げまするならば、まず公安委員会の態度でありますが、2月23日、情勢を判断いたしまして大会を不許可にし、3月20日の集会示威行進に対して許可条件を付したことは、これは当を得た処置であると考えられます。
しかしながら3月20日の集団示威行進の場合、許可条件にある解散は午後6時30分であったが、実際には大会が2時間遅れて8時30分になっております。その6時30分ごろに示威行進が出発、危惧していた夜間デモとなったことは、わずか2時間のずれではありまするけれども、すべての犯罪、暴逆なる行為は、夕方薄暗いときから行われておりますから、この時間のずれが事件発生の重大な原因であったことを知るとき、臨機応変な態度、日本共産党に対する適宜な措置をとるべきであったと考えられるのであります。
従来の諸事件がいずれも夜間に起っている関係上、当然夜間における示威行進は断固禁止されなければならないのにこの点、今回の事件は、かかる集会のあり方について、今後のために一つの警告を発するものであります。
警備対策と警備状況を申し上げますると、2・23事件においては京都市警では、日本共産党の軍事組織並びに対警工作の積極的暴力化等、一連の情勢判断を基礎といたしまして、事前の不穏なる情勢から、22日緊急部課署長会議を招集して、警備実施要綱を決定、1809名の警官を動員して、華頂会館前を初め、市内の要所に配置して、残余の1700名は待機の姿勢で警備に当っておったのであります。
しかしながら予想された騒乱に対しての態勢は、一応各部隊の配置によって警備さたものの、その間隙と弱点をつかれて不法事件が惹起したのであって、その結果といたしましては、
1、日本共産党の陽動作戦、遊撃戦に対する対策が、一線警官まで徹底しておったかどうか。
2、常に受動的態度で、積極的に解散措置に出なかったため、デモ隊をしてかえって気勢を上げさせる結果となったのではないか。
3、集団の萌芽が現れましたならば、即時解散措置をとらなければならないのに、初動制圧が不十分であったと思われること。
4、派出所襲撃に対する連絡、後方より投石をするのが例でありまするから、その後方になぜ警備を配しなかったかというような問題、火焔筒の投入に対する警戒の不徹底等の警備上の欠陥が見られる
ので、これらははなはだ遺憾であります。
3・20事件におきましては、2月23日の警備の経験を生かし、参加予定団体以外の学生、朝鮮人等の潜行参加、不法事犯の発生等を予想いたしまして、1963名と前回よりも150名警官を動員いたし、その余は待機の上、市内の要所々々を網羅する配置によって、一応警備態勢は十分であったと見ることができます。
しかしながらジグザグ行進によって混乱した交通機関の一時停止等の整理はきわめて拙劣で、市民に不安感を与えた上、さらに解散後事件が発生しているのは、警官の状況判断の誤算、この陽動作戦に裏をかかれたということになっておるのであります。それと単独行動の危険性、解散後の群衆に対する集団パトロールの不備等によるものと考えられ、その点においては的確性を欠いたものと思考されます。
但し当時の警備状態が、小川半次君が緊急質問をいたしまた本会議の演説にもありますような、そのときの京都は無警察状態であったとか、警官が暴行を目撃しながら救出しなかったというようなことは認められなかったのであります。
第3、京都事件に対する総合的考察であります。2・23、3・20両事件の背後関係は、すでに事件の概要において明らかになりましたが、3月3日付の日本共産党の通達
「徴兵反対、再軍備反対国際婦人大会を実力で闘い取れ」
によれば、2・23事件に対する自己批判といたしまして、こういうようなことを言っております。
「第一に多くの人が、特に党機関でさえ2・23反植民地デーの大会に対して敵が許してくると云う甘い考え方をもっていた事である。」
敵とはいわゆる保守陣営であります。これらがわれわれの開く大会を許して来るという甘い考えを持っていたために不許可に終ったということはけしからぬ、なぜ実力でやらなかったかということであります。
「大体党が指導する大会が許可されるのは余程特殊な場合である。それは革命がもともとはじめから非合法なものであり、敵階級は自分自身を攻撃する者に対してどんな事でも必ず弾圧して来るのが当然であるという理由による」
こう説いております。また
「2・23に闘われた行動隊が中核自衛隊であるというのはあやまった思想である。何故なら中核自衛隊というのは生産点――即ち職場や学校等に於ける抵抗闘争の中から生まれる組織であり、それだからこそ、民族独立闘争を最後まで闘うことが出来るのである。
2・23闘争でいわれている中核自衛隊は、その芽があるにしてもこういった性格をもっていない。それは同じ職場に基礎を置く組織ではなく、ただ2・23闘争のためにのみ組織された行動隊にすぎない。
2・23闘争が一応成功したからと云って、この経験のみをそのままおしすすめると重大なあやまりをおかすことになる」
2・23闘争でいわれている中核自衛隊は、その芽があるにしてもこういった性格をもっていない。それは同じ職場に基礎を置く組織ではなく、ただ2・23闘争のためにのみ組織された行動隊にすぎない。
2・23闘争が一応成功したからと云って、この経験のみをそのままおしすすめると重大なあやまりをおかすことになる」
こう忠告しております。これらによって2・23の青年婦人大会は、党より見れば反植民地デーの闘争であったこと、そのために逐次再軍備反対のスローガンを党の線に移行させて来たこと。大会が不許可になるのは当然のことで、革命への前進にあたり、党は党の意思によって大会を行うのである。それゆえに行動はすべて非合法で行われるのである。とはっきり言っております。2・23闘争に組織された行動隊は、真の意味の中核自衛隊ではない。しかし2・23闘争のために特に行動隊が編成組織されていたこと等が明瞭になり、共産党が背後にあって指導した計画的な騒擾事件であったことが証明されたのであります。
一つの軍事行動としての計画性があるとき、みずから襲撃にあたっても軍事方針に従った選定がなされる。すなわち襲撃派出所の選定には、
1、最も反動的、売国的警官のいる派出所。
2、党の影響力の強い地域の駐在所、派出所。
3、本部、署等大権力機関の所在地は避けること。
4、攻撃後、天誅下る等の宣伝を行うようビラ等を準備しておくこと。
これは白鳥事件ではっきりいたしております。白鳥事件では、やると同時に「天誅遂に下る」というビラを張っております。襲撃された個所は、この選定の条件にかなった所であり、それが計画通りに実行されて騒擾事件となったものであります。3・20事件の場合は、2・23事件が反植民地闘争を主眼としていたことよりさらに前進して、広汎な大衆動員と遊撃戦をねらったものといえましよう。
京都においては、昨年12月以降、越年闘争、公安条例闘争、反植民地闘争を通じて、労働者の共同闘争が打出され、それが実力行使の裏づけにより発展して来ているが、2月23日より3月20日まで、3月1日の万才記念日、3月15日の3・15記念日、3月18日の小林多喜二祭と記念日が相次ぎ、これらを3月20日大会に結集し、共同闘争の一応の締めくくりを行うとともに、春季闘争を発させる突破口とし、両条約粉砕、打倒吉田内閣の統一メーデーのきっかけをつくる闘争たらしめようとしたもののようであります。
3月17日付の日本共産党京大細胞の宣伝ビラによれば、3月1日は
「京都では地評幹部が日和見で大会が開かれなかったが」
「全国的な高まりと反植民地闘争デーの闘いのあふりで、3月20日、円山で吉田内閣打倒、悪法粉砕総ケツ起大会を開き、チョウチンデモを行うことに決定した」
「全国的な高まりと反植民地闘争デーの闘いのあふりで、3月20日、円山で吉田内閣打倒、悪法粉砕総ケツ起大会を開き、チョウチンデモを行うことに決定した」
と言い、
「越年闘争、公安条例闘争、反植民地闘争デー等と労働者の共同闘争が打出され、これが実力闘争として発展して来た。反植民地闘争デーには右京税務署、左京税務署、ポリボックスに、労働者を中心にした愛国者のいかりが直接の実力闘争である襲撃になって敵権力をふるい上らせた」
と激賞いたしておるのであります。
「3月20日にすべてを結集し、団結して闘わねばならぬ」
とし、
「吾々はこれらの要求が素手で出来るとは思われない――実力を以て――職制を叩き出し、最低賃銀をカクトクしよう」
と結んでいるのは、京都における12月以降の動向を物語っているものであります。
これらの動きは、総評の大会をいかに共産党が利用しようとしていたかの一つの現われであるが、同時にまた直接行動としては、次のようなことが行われるであろうと治安機関では見ておったのであります。すなわち、
1、デモ隊に特殊工作隊の指揮によって5人組10人組の中核自衛隊を入れ大衆を扇動する。
2、当日の攻撃目標は税務署、派出所、Ｐ・Ｄ工場、市内は嶋津製作所、森製本所、中日本重工、市外は日国工業、井上電気とし、特に税務署に主力を注ぐ。
3、自労、学生、朝鮮人の三者で15名を1組とする小隊3個小隊を編成、警察官の拳銃を奪取する。
4、使用武器、火焔ビン、30本くらい、13名を1組とす。小隊を3箇小隊に編成する。特殊工作隊として1小隊に10本あて携行する。催涙弾、30本から50本を投擲する。目つぶし、とうがらし、灰、石灰を原料としたものを20個使用する。くぎ、板、自由労組員によって100個用意されている。
5、大会開会と同時に労農市民、朝鮮人参加承認の動議を出し、公安委員会許可条件を黙殺する。
以上のごとく2・23事件より3・20事件にかけて、共産党指導の闘争は逐次激化し、全国各地に見られる遊撃戦が行われるものと予想されていたのである。これらはいずれも球根裁培法第36号にある遊撃戦に基礎を置いたものであり、五全協の軍事方針を忠実に実行しようとした事件であります。
次に監察の結果を述べます。2・23、3・20両事件の背後関係は、すでに明らかになったごとく、いずれも日本共産党が昨年10月、第五回全国協議会で武力革命を指令して以来、東京練馬区の印藤巡査撲殺事件を初め、北海道札幌市における白鳥警部射殺事件、引続き長野県南佐久郡田口村の数名の警官に対する暴行事件、2月21日の全国的に起った反植民地闘争デーの襲撃事件、さらに3・1記念日をめぐる各所の襲撃暴行事件等、全国的に続発している対警察その他の機関に対する軍事行動の現われであると考えられます。
すなわち2・23事件は京都における軍事組織の立遅れを克服しようとして強行手段に出たものであると見られるのであります。2・23のため特別に行動隊が組織され、計画された通り警察その他を襲撃した事件であり、12月越年闘争の失敗から大衆闘争を高めようと動員し、2・21における全国の反植民地デーの闘争、特にその2日前の東京におけるかの蒲田事件に範をとったものと見るのであります。
3・20事件は、2・23事件の遊撃戦の経験を生かし、総評の撹乱と総評に対する労働大衆の離反工作をはかり、大会を通じて主導権を奪取しようとはかった日共系労組その他の策動によって惹起した事件であると考えられます。
これらはいずれも京都の持つ特殊的な立場、すなわち府議、市議の中にはレッド・パージとなった日共党員が数名おるという、いわゆる左翼勢力の強い力が反映しているものと考えられます。この全国にあまり類例のない左翼的立場の強い京都において2・23、3・20両事件が起きたことは、全国的に軍事活動が行われている今日、起るべくして起きた計画的な日本共産党の指導によったものであると断定できるのであります。
すなわちこの思想的政治的背景のある事件に対しまして、われわれとして注意及び施策を立てなければならない点は、
1、暴力革命を企図し、陽動作戦及び遊撃戦を展開しようとする極左分子の戦略戦術を一線警察官にまで徹底せしめ、これを未然に防止するの対策と心構えを早急に樹立すること。
2、総評京都地評は事件後、3・20事件は日本共産党の指令によるものと思うが、世論の支持と協力があってこそ健全な労組ができるのであって、組織労働者のみの大会が暴力化したとの印象を市民に与えた。と加賀田議長は自己批判して語っておるのでありますが、われわれは民主的労働運動を阻害するものに対しては断固闘うとともに、その主体性の確立を期せねばならぬこと。
3、日本共産党の戦術は、治安取締り当局を精神的に畏怖消極化せしめ、さらに大衆に恐怖の観念を強く与えるのが目的でありまして、両者間を離反せしめようとするに対し、現在の制度、機構、法規では、これに対しての取締の徹底を期することは困難であると思考する。よって緊急に根本対策を樹立すべきであることであります。
以上の諸点を希求いたしまして、本員は調査団の報告を終りたいと思うのであります。
この機会に特に私は一言愛国的に一つ申し述べたい点があるのでございます。それは私は最大の愛国者は、宗教的には600年前の日蓮上人だと思っております。当時の制度その他において、今日はかけ離れておりますが、あの22歳の愛国者日蓮が、ときの北条幕府に対して、首をはねられることを覚悟して訴えられた日蓮の立正安国論を見ると、「所詮天下泰平に国土安穏ならんこと君臣の楽（ねが）ふ所、土民の思ふ所なり。夫れ国は法に依て昌（さか）へ」――「法に依て昌（さか）へ」とは仏法であります。仏法によって栄え、「法は人に因りて貴し。国亡び人滅しなば仏をも誰か崇（あが）むべき、法をも誰か信ずべきや」。と言い、「汝早く信仰の寸心を改めて、速に実乗の一善に帰せよ。」――法華経の一善に帰せよと言っておる。「然らば則ち三界は皆仏国なり、」――三界とは今世、前世、来世であります。いわゆるこの三界はみな仏国である。「仏国其れ衰へんや。十方悉く宝土なり、宝土何ぞ壊れんや。国に衰微なく上に破壊無くんば、身は是安全、心は是れ禅定ならん。」こう幕府に説いておるのであります。
私はかような事件の起ることは要するにわれわれ政党の責任であり、ときの政府の力の及ばない点もありましょうけれども、国民ことに青年に愛国運動を起さしめなければ、国家はほんとうに憂うる事態が来るのではないかと痛感いたしまして、信仰いたしております。この立正安国論の御一文を日夜暗じて国家の安全を祈っておるものであります。まことに長くなりましたが、以上をもって京都事件の報告といたします。
[013]
委員長（自由党） 内藤隆
ただいまの田淵委員の詳細なる御報告を拝聴いたし、さらに最後に御意見を拝聴して、委員長として派遣委員諸君がよく詳細にお調べになったことを感謝いたします。
ただいまの派遣委員の報告について質疑の通告がありますから、この際これを許します。山口武秀君。
[014]
日本共産党 山口武秀
ただいま長い報告を、私はきわめて静かに聞いておりましたが、数点について御質問をしたいと思います。
この報告書作成に当られました5名の派遣委員は、基本的にはアメリカと日本の吉田政府に対して、きわめて忠実な考え方によってつくられたものであります。従いましてこの報告書はきわめて片寄ったものがある。問題の本質をついていないという印象を受けました。
[026]
日本共産党 竹村奈良一
もう1つ聞きたいのは、調査の結果書かれていることには、たとえば日本共産党が昨年何とかして、それから東京練馬、あるいは北海道札幌における白鳥警部事件、こういうようなこともあたかも日本共産党によって行われたごとく書かれておる。
しかし北海道の白鳥事件につきましても、現在これはそれ以外の者によって行われたということはほぼはっきりしかけておる。それにこういう断定的な考え方をもって調査されるということ自体、私は超党派的な行政監察委員会の面から考えましても、この点はいかに一方的な考え方からやられている調査であるかということがはっきりしている。この点もひとつお答え願いたい。
従ってこういう一連の報告書をつくり上げるために調査をするにあたりましては、共産党の委員を加えるべきである。それを加えなかったということ自体が、すでに調査以前から、こういう推定あるいは思考に基く、しかも当然憲法に保障された一連の行動をやるということを阻害したことの調査を抜きにしようという考えがあったのではないかと考えるのでありますけれども、団長からこれに対して明確な御答弁をお願いいたします。
[027]
自由党（自由民主党） 田渕光一
お答えいたします。われわれ権威ある調査団に向って非常に誹謗的な竹村君のお言葉でありましたが、私ども自由党、改進党、社会党のこの5名の調査団は、衆議院議員の公職を汚すことなく、あやまちなく、国家再建のために最も公平無私に監察をいたして参ったことをお答えいたしておきます。
